スマートガラス徹底比較:仕組み・価格・用途

住まいの目隠し・建物の日射制御・車のパノラマルーフ・店舗の投影窓 | PDLC・SPD・エレクトロクロミック・液晶調光ガラスの仕組み、仕様、円換算価格を比較

一枚のガラスが透明になり、すりガラス状に変わり、日差しに合わせてゆっくり暗くなる。

スマートガラスは、住宅やオフィス、自動車へと広がっています。透明度、曇り具合、色の濃さ、日射熱取得を能動的に変えることで、採光とプライバシー保護、日射制御を一枚で担います。2026年9月時点の製品資料を対象とすると、主な方式は高分子分散型液晶のPDLC、懸濁粒子方式のSPD、エレクトロクロミックのEC、色素液晶方式の調光ガラスです。

いずれも光を調節する製品ですが、解決する課題は異なります。浴室には目隠し、西向きの大開口窓には熱とまぶしさの軽減が必要です。車のパノラマルーフでは、室内空間や車両制御との連携も重要になります。まず用途を整理し、そのうえで仕様と施工費を比べると選びやすくなります。

🌍 1.スマートガラスの主な方式

方式・製品 見え方の変化 切り替え速度 目隠し・日射制御 価格帯 向いている用途
PDLC調光ガラス透明 ↔ 乳白色ミリ秒単位目隠し:★★★★★
日射制御:★★–★★★
中程度住宅、会議室、浴室
PDLC調光フィルム既存ガラスに透明・乳白切り替え機能を追加ミリ秒単位目隠し:★★★★★
日射制御:★★–★★★
比較的低い既存建物の改修、オフィス
SPD調光ガラス透明 ↔ 濃色、連続調光約1–3秒目隠し:★★
日射制御:★★★★★
高い天窓、自動車、大開口窓
エレクトロクロミック(EC)透明 ↔ 濃色、自動日射制御数分目隠し:★★
日射制御:★★★★★
高いカーテンウォール、空港、オフィスビル
eyrise液晶調光ガラス日射制御シリーズは連続調光、目隠しシリーズは透視状態を切り替え約1秒目隠し:★★–★★★★
日射制御:★★★★★、シリーズによる
非常に高い高級建築、展示空間
自動車用調光ガラス透明 ↔ 濃色・乳白、方式による瞬時に切り替わる製品もある目隠し:★★★★
日射制御:★★★★★、仕様による
自動車メーカー向け個別見積もりパノラマルーフ、サイドウィンドウ

星の数は用途ごとの傾向を示した目安です。実際の性能はガラス構成や型番によって異なります。住宅やオフィスの目隠し改修ではPDLCフィルムや調光ガラスが有力な候補になります。外窓で日差しや日射熱取得を抑えたい場合は、SPD、EC、eyriseの日射制御シリーズを比較するとよいでしょう。

🔍 PDLC:目隠しの切り替えと既存ガラスの改修

2.PDLC調光ガラスの仕組みと仕様

スイッチひとつで透明から乳白色へ

PDLCはPolymer Dispersed Liquid Crystalの略で、高分子分散型液晶を意味します。ガラス内部に液晶層があり、通電していないときは液晶の向きが不規則になり、光を散乱させて乳白色に見えます。通電すると液晶の向きがそろい、光が通るようになって透明に戻ります。

Gauzy PDLC Smart Glassは、この方式の代表的な製品です。主な仕様と選択可能な構成は次のとおりです。

項目Gauzy PDLC Smart Glass
切り替え速度約10 ms
通電・透明時のヘイズ平均約2.5%
紫外線カット率約99%
消費電力平均約3 W/m²
動作電圧42–70 VAC
最大幅約1.8 m
状態透明、半透明、乳白の目隠し状態に調整可能
操作・制御スイッチ、リモコン、Wi-Fi、RS485、DMX、0–10 V、Lutron
スマートホーム連携Alexa、Google Homeなどと連携可能
ガラス構成一般ガラス、強化ガラス、高透過ガラス、複層ガラスなど
使用環境屋内用と屋外用を用意
カスタマイズ異形、穴あけ、レーザー加工模様、エリア別制御、部分的な透明化・乳白化

目隠し間仕切りと投影できるショーウィンドウ

PDLCの大きな利点は、視線の通り方を柔軟に変えられることです。オフィスは普段は透明にし、会議中は乳白色に切り替えられます。浴室は使用中に目隠しに、寝室の間仕切りは夜間のプライバシー確保に使えます。病院でも布カーテンの一部を置き換えられます。物理的な境界はそのままに、視覚的な開放感を変えられます。

乳白状態のPDLCは光を拡散するため、プロジェクターと組み合わせて使うこともできます。店舗では透明な窓越しに商品を見せ、広告を流すときだけ投影スクリーンに切り替えるといった使い方が可能です。一枚で展示と映像投影を兼ねられます。

3.PDLC調光フィルム:既存ガラスを生かす改修

今あるガラスに調光機能を貼り付ける

PDLCフィルムと調光ガラスの原理はほぼ同じですが、施工方法が異なります。フィルムは既存ガラスの表面に貼るため、目隠し機能を追加するために窓を外したり、枠やガラス全体を交換したりする必要がありません。住宅やオフィスの改修に導入しやすい方法です。

項目Gauzy Smart Film
厚さ約560 μm
透明時のヘイズ平均約2.8%
消費電力1–3 W/m²
動作電圧42–70 VAC
切り替え速度約10 ms
最大幅約1.5 m
紫外線カット率高い遮断性能
表面処理傷防止コーティング
切り替え耐久試験1,800万回超
連続通電試験10,000時間超
操作・制御スイッチ、リモコン、Wi-Fi、スマートホーム

大がかりなリフォームをせずに透明と乳白の切り替えを取り入れたい場合、フィルムは実現しやすい選択肢です。ただし、電源や配線、端部処理は必要です。また、材料の試験回数をそのまま施工後のシステム全体の耐用年数と考えることはできません。

4.目隠しと日射熱の抑制は別の機能

室内が見えなくても、日射熱を遮れるとは限らない

一般的なPDLCは主に光の散乱の仕方を変えます。乳白色になると視線は遮られますが、室内には多くの光が入る場合があります。そのため、調光ガラスを一律に高性能な遮熱ガラスと考えることはできません。

浴室、寝室、会議室の目隠しにはPDLCが適しています。一方、西日の入る部屋を涼しくしたいなら、日射制御型PDLC、SPD、EC、Low-Eと調光機能を組み合わせた製品を比較し、ガラス構成全体の日射熱取得性能を確認する必要があります。

5.多くのPDLCは電源を切ると乳白色になる

透明を保つには通常、通電し続ける

一般的なPDLC製品の多くは、電源オフで乳白色、オンで透明という仕組みです。停電時には自動的に目隠し状態になりますが、普段から透明に保つには継続的な通電が必要です。

消費電力は通常それほど大きくありません。約3 W/m²なら、10 m²のガラス壁全体で約30 Wです。制御方法を決める際は、一日のうち透明を保ちたい時間も考慮するとよいでしょう。

💰 PDLCの価格:材料費と施工費を分けて考える

以下の金額はすべて日本円で、2026年9月4日の為替レートで換算し、四捨五入しています。元の平方フィート単価も、比較しやすいよう平方メートル単価に統一しました。税金、輸送費、施工範囲は地域により異なるため、換算額は予算規模の目安であり、日本での実際の施工完了価格ではありません。

6.中国工場の見積もりと工事全体の費用

工場の材料価格は予算の一部

PDLC調光フィルム
一部工場の公開価格は約7,859–10,224 円/m²
PDLC合わせ調光ガラス
一部工場の公開価格は約13,979–24,991 円/m²

これらは主に工場出荷価格や法人向け価格です。日本などへの輸送、切断、特注加工、コントローラー、変圧器、配線、取り付け、枠、電気工事、アフターサービスは通常含まれません。淘宝、1688、工場の製品情報で約15,718–31,436 円/m²の材料を見つけても、日本の住宅で施工を終えたときの単価とは別です。

7.日本の調光フィルム価格と施工内容

同じ面積単価でも、含まれる内容は大きく異なる

日本の調光フィルム事業者が2026年7月に公開した価格例では、フィルム本体のみで約119,995–200,000 円/m²となっており、施工、電気工事、コントローラー、出張、現場加工は別料金です。

ほかの日本の施工業者が公開した市場価格の目安には、約29,999–80,005 円/m²というものもあります。製品グレード、工事範囲、コントローラーの有無で差が出るため、面積単価だけでは割安かどうか判断できません。

小規模な工事が必ず安いわけでもありません。一、二枚のガラスでも訪問や電気工事、制御機器が必要です。会議室のガラス壁全体など面積の大きい案件では、固定費を広い面積に分散しやすくなります。

8.米国市場に見るグレード別価格

材料の品質、施工、保証が価格を左右する

見積もり項目円換算の参考価格価格に含まれる範囲
汎用グレードのPDLC約30,439 円/m²あるメーカーの基本グレード
建築用グレードのPDLC約42,286 円/m²同じメーカーの建築用製品
高級建築用グレード約99,803 円/m²同じメーカーの上位製品
調光フィルム材料約59,209 円/m²から別のメーカーが2026年に公開した材料の最低価格
取り付け約33,824 円/m²から施工費は別途
合わせ調光ガラス約169,167 円/m²からガラスの最低価格。周辺機器の費用は要確認

上位製品では、低ヘイズ、傷防止層、約99%のUVカット、より高い赤外線遮断性能、設計支援、長期保証などが加わる傾向があります。変圧器や配線が別料金の場合もあります。グレードや納入範囲によって、価格が3–5倍異なることも珍しくありません。

🔍 SPD:景色を保ちながら連続調光

9.SPDの見え方と主な仕様

窓に濃さを変えられるサングラスを付ける感覚

SPDはSuspended Particle Deviceの略で、懸濁粒子を利用する方式です。比較的透明な状態から徐々に色を濃くし、室内に入る光を連続的に調整できます。暗くなっても外の景色を見渡せる一方、強い光やまぶしさを抑えられます。

大開口窓、天窓、車のパノラマルーフ、航空機、ヨット、サンルームなどに適しています。Gauzy SPDの代表的な仕様は次のとおりです。

項目Gauzy SPD
切り替え速度3秒未満
ヘイズ平均約2.5%
紫外線カット率公称100%
消費電力約1.5 W/m²
動作電圧100 VAC、矩形波
制御連続調光
形状平面・曲面
ガラス構成強化ガラス、高透過ガラス、複層ガラスなど

10.SPDとPDLCの使い分け

目隠しが必要か、日差しを弱めたいかを考える

浴室・寝室の間仕切り
プライバシー保護や視線の遮断が主目的なら、PDLCの乳白状態を利用する方法が一般的です。
西向きの大開口窓
景色を保ちながら日差しやまぶしさを軽減したい場合は、SPDなどの日射制御方式が向いています。

PDLCは透明から乳白色へ、SPDは透明から濃色へ変化します。どちらも光を調節できますが、切り替えの実演だけを見て同じ用途に使えると判断しないことが大切です。

11.SPDの価格帯

基本は案件ごとの見積もり

Gauzyなどの産業向けSPD製品には、統一された一般小売価格がなく、通常は個別見積もりになります。2025–2026年の消費者向け価格資料を換算した参考範囲は約84,572–253,738 円/m²

この金額は初期の予算検討に使う目安です。自動車、曲面ガラス、大型建築では仕様や納入条件が大きく異なり、制御機器と施工費も確認が必要です。SPDは比較的高価格の建築・内装材料に位置付けられます。

🏢 EC:日差しに合わせて建物の窓を調光

12.エレクトロクロミックガラスの仕組み

一枚の窓から建物全体の自動制御へ

ECガラスは電気信号で光の透過状態を変えます。代表的な製品に、サンゴバン傘下のSageGlassとView Smart Windowsがあります。制御システムと組み合わせると、環境の変化に応じて窓の色の濃さを自動調整できます。

システムは時刻、太陽の方向、照度、雲量、建物の向き、温度、反射光などを組み合わせ、どのガラスをどの程度暗くするか判断します。画面の自動輝度調整を、建物全体の窓に応用するような仕組みです。

13.SageGlassの透過率と日射熱取得

明るさとともに室内へ入る太陽エネルギーも抑える

SageGlassは建築用ECガラスの代表製品です。一般的な複層構成では、可視光透過率が透明時の約60%から最も暗い状態の約1%まで下がり、日射熱取得率SHGCは約0.41から0.09へ変化します。室内の明るさだけでなく、日射による熱の流入も変わります。

三層ガラス構成の一例では以下の数値が示されており、最大寸法は約1.83 × 3.0 m

状態可視光透過率SHGC
Clear/透明54%0.36
Tint 1/第1段階16%0.09
Tint 2/第2段階5%0.05
Fully tinted/最も濃い状態1%0.03

14.SageGlass Harmonyのグラデーション調光

一枚のガラスで上から下へ濃さを変えられる

Harmonyは縦方向のグラデーション調光に対応します。例えば午後、窓の上部から日差しが入る場合、上は濃色、中間は中程度、下は透明にすることで、座っている人の外への眺めを保てます。

Harmonyには8種類の調光状態があり、BMS、BACnet、屋上の照度センサー、自動制御アルゴリズムと連携できます。壁面コントローラーやスマートフォンからの操作にも対応します。

15.ECの切り替えには時間がかかる

最も明るい状態から最も暗い状態まで通常は数分

標準的な大きさのSageGlassが両端の状態を切り替えるには、通常数分かかります。外気温やガラス寸法も速度に影響します。徐々に色が濃くなる方式であり、PDLCのようなミリ秒単位の目隠し切り替えとは異なります。

16.ECが建物の外壁に適している理由

一日の太陽の動きに合わせて調整する

外窓には、朝は東側を暗くし、午後は西側を暗くし、曇天時には透過率を上げるといった継続的な調整が求められます。こうした緩やかな変化には、数分の切り替え時間でも建物の自動制御に組み込みやすくなります。

ECは超高層ビル、オフィス、ホテル、空港、病院、学校、高級住宅のカーテンウォールなどに向いています。大面積の採光、日射熱取得、まぶしさを管理できる点が強みです。

17.最も暗くしても完全な目隠しにはならない

夜間は室内外の明るさの差で見え方が変わる

SageGlassは可視光透過率が約1%まで下がっても、完全に不透明にはなりません。昼間は外から見えにくくても、夜に室内の照明を点け、外が暗い状態になると、中が見える場合があります。

浴室、寝室、更衣室のガラスは、最低透過率だけで選べません。確実に視線を遮りたい場所では、PDLCなど目隠し用途の製品を検討し、濃色のECガラスをそのまま代用品と考えないことが大切です。

18.View Smart Glassのシステム構成

ガラス、制御網、クラウド、センサー、ソフトウェアを連携

Viewは調光ガラスを建物全体の制御システムと組み合わせ、窓ごとの個別制御を可能にします。代表的な4段階構成では、可視光透過率はTint 1が約52%、Tint 2が約30%、Tint 3が約6%で、さらに濃いTint 4があります。

雲量、太陽の位置、向かいの建物の反射、照度、日差しが室内に届く奥行きなどをもとに自動調整し、手動操作を減らします。

  • 強いまぶしさがある条件で、太陽光を最大約99.5%遮るとされています。
  • 公表された日射遮断率は90%を超える場合があります。
  • 特定の建物モデルでは、年間エネルギー消費を最大約18%削減しています。
  • 特定条件下では、ピーク冷房負荷が最大約23%下がります。

これらは製品資料に示された事例やモデルの上限値です。実際の効果は建物の向き、気候、ガラス構成、制御方針に左右され、すべての建物で同じ結果が得られるわけではありません。

19.日本の九段会館での導入例

大型オフィスビルでも使われているECガラス

日本板硝子はViewと協力し、東京の九段会館テラスにView Smart Glassを導入しました。4段階で調光でき、可視光透過率は最低約1%です。日本の大型オフィス建築におけるECガラスの実用例となっています。

20.ECガラスの価格

ガラスの仕様と制御システムで予算が決まる

SageGlassは通常、面積、複層・三層構造、Low-E仕様、制御機器、ガラス仕様、BMSとの連携要件に応じて個別見積もりとなり、統一単価はありません。

商用EC製品
過去の市場参考価格を換算すると約84,572–253,738 円/m²
比較用の従来型窓
同時期の参考価格を換算すると約25,362–50,748 円/m²

これらは既存の市場資料に基づく予算の目安です。調光ガラスでは配線、制御、取り付けの費用も必要です。ECは主に中高級建築向けであり、窓と制御工事を含めた全体で予算を考える必要があります。

⚡ eyriseと自動車用調光ガラス

21.eyrise液晶調光ガラス

約1秒で切り替わり、色味も比較的ニュートラル

eyriseはMerckに関連する液晶技術を採用しており、日射制御製品の特徴のひとつが素早い切り替えです。代表的な構成では、可視光透過率が透明時の約57%から濃色時の約2%へ、約1秒で変化し、調光中も比較的自然な色味を保てます。

日射透過率
35%から10%
g-value
39%から15%

一部の初期EC製品では約15分、後の製品でも数分かかることが多いのに対し、秒単位の応答は素早い調整が必要な空間に向いています。ただし、寸法、温度、試験条件によって実際の速度は変わります。

22.eyriseの寸法、消費電力、目隠しシリーズ

日射制御と目隠しのシリーズを分けて選ぶ

eyriseの一部の日射制御製品では、消費電力約1 W/m²、最大寸法約1.6 × 3.5 m、特定構成のU値が最低約0.5 W/(m²·K)と公表されています。48 V DC制御、BMS、KNX、0–10 V調光に対応します。

目隠し用のi350シリーズは最大寸法が約1508 × 2904 mm、厚さが約17 mmで、透明と目隠しの切り替えは約1秒です。このシリーズの目隠し機能と日射制御シリーズは区別して考え、異なる型番の仕様を一つの製品の性能としてまとめないようにします。

eyriseは主に高級建築の調光ガラス案件を対象とし、価格は通常、工事ごとの見積もりです。

23.AGC Digital Curtainの車載調光ガラス

自動車のガラスに調光フィルムを組み込む

AGC Digital Curtainは車載スマートガラスの代表的な製品で、関連製品は以前、WONDERLITE Dxの名称でも知られていました。二枚のガラスと特殊な調光フィルムで構成され、透明と遮光・乳白状態を素早く切り替えます。実際の見え方は車種や仕様によって異なります。

該当する仕様では、どちらの状態でも約99%の紫外線を遮断できます。調光機能がガラス内部に収まり、パノラマルーフやサイドウィンドウに新たな制御方法をもたらします。

24.量産車への採用例

パノラマルーフから昇降式の後席窓へ

関連技術は、トヨタ・ハリアーのパノラマルーフや、トヨタ・センチュリーの後席ドアガラスに採用されています。センチュリーは昇降式の車両窓に調光ガラスを使う重要な量産事例でもあります。AGCの2026年の企業資料にも関連製品が掲載されています。

  • まぶしさを抑え、強い日差しの中でも快適に過ごせる。
  • 適切なガラス構成で日射熱取得を抑える。
  • 必要に応じて後席やルーフのプライバシーを高める。
  • 従来のサンシェードへの依存を減らす。
  • 車内の空調負荷低減に役立つ。

これらは主に自動車メーカー向けOEM製品です。一般の購入者は車両の装備として利用するのが基本で、汎用の調光ガラスを購入して自分で車窓を置き換えるものではありません。

25.日本板硝子のUMUは出荷終了

古い製品資料と現在の供給状況を分けて確認する

日本の調光ガラスを検索すると、今でも日本板硝子のUMU / ウムが見つかります。著名なPDLC製品で、旧資料では不透明から透明への切り替えが約1ミリ秒、透明から不透明が約10ミリ秒

UMUは2025年3月に出荷を終了し、約30年の製品の歴史に区切りをつけました。2026年にUMUを勧めるページを見た場合は、古い情報が残っていないか確認が必要です。過去の製品紹介を、現在の新規購入向け供給情報とはみなせません。

🏠 用途別の選び方と購入時の確認点

26.よく使われる九つの場所

住宅、オフィス、商業空間、自動車

  • 家庭の浴室:PDLCなら普段は透明にし、入浴中だけ乳白状態にでき、ブラインドやカーテンの使用を減らせます。
  • 寝室とリビングの間仕切り:小さな住まいでも開放感とプライバシーを切り替えられます。透明時は空間が視覚的につながり、乳白時は視線を遮ります。
  • 住宅の大開口窓:目隠しが中心ならPDLC、西日、熱、まぶしさが中心ならSPDやECなどの日射制御方式を比較します。
  • オフィスの会議室:ガラスとブラインドの組み合わせを一部置き換えられます。会議室システムに接続し、開始時に乳白、終了時に透明にすることも可能です。
  • 病院:平滑なガラスは拭き取りやすく、布カーテンのほこり、洗濯、機械部品の保守負担を減らせます。頻繁な清掃が必要な目隠し間仕切りに向いています。
  • ホテル:浴室と寝室の間、プレジデンシャルスイート、スパ、プール周辺などで、開放感とプライバシーに合わせた調光間仕切りを設けられます。
  • 店舗のショーウィンドウ:PDLCとプロジェクターを組み合わせると、透明な展示窓と乳白の投影スクリーンを切り替えられます。
  • 車のパノラマルーフ:SPDやAGC Digital Curtainなどは、強い日差しの際に調光や遮光へ切り替え、車種の設計に応じて明るさとプライバシーを調整します。
  • オフィスビルのカーテンウォール:EC、SPD、eyriseの日射制御シリーズは、日射熱取得、空調省エネ、まぶしさ、自動制御、眺望の確保を総合的に扱う用途に適しています。

27.購入前に確認したい20項目

透光性能から見積もり全体まで

  1. 可視光透過率(VLT):透明時と最暗時をそれぞれ確認し、採光の調整幅を把握します。
  2. ヘイズ:PDLCでは透明時のヘイズが特に重要です。低いほど自然に見えやすく、約2–3%は良好な水準の目安です。
  3. SHGC / g-value:日射熱取得の制御性能を比較する指標です。曖昧な高遮熱率の宣伝だけで判断しないようにします。
  4. 赤外線(IR)遮断:制御性能と試験対象の波長範囲を確認します。
  5. 紫外線(UV)遮断:高品質な製品は約99%に達することが多いものの、型番ごとに確認します。
  6. 切り替え速度:PDLCは通常ミリ秒、SPDは秒、ECは分単位です。
  7. 消費電力:W/m²を確認し、面積と一日の通電時間を合わせて考えます。
  8. 最大寸法:特にフィルムの最大幅を確認し、大きな窓で意図しない継ぎ目が生じないようにします。
  9. 動作電圧:ガラス、変圧器、制御機器の組み合わせを確認します。
  10. 屋外使用への適合:屋内用か屋外用かを確認します。
  11. 使用温度範囲:地域の気候と実際の設置環境をカバーするか調べます。
  12. 連続通電時の寿命:試験条件と、透明状態を長く維持した場合の性能を確認します。
  13. 切り替え回数:会議室や公共空間など、頻繁な切り替えに対応できるか判断します。
  14. 保証:期間、対象部品、修理の責任範囲を明確にします。
  15. 端部の封止:湿気への対策、フィルム端部、配線接続部の処理を確認します。
  16. コントローラー:機能、互換性、将来の交換対応を確認します。
  17. スマートホーム・BMS:対応システム、インターフェース、必要な追加機器を確認します。
  18. 破損時の安全性能:設置場所と用途に応じた安全要件を確認します。
  19. ガラス構成:強化、合わせ、複層の各構成が可能か調べます。
  20. 見積もり範囲:特にコントローラー、変圧器、配線、施工が総額に含まれるか確認します。

同じ面積単価でも、フィルムだけ、完成したガラス、施工込みのシステムでは内容が異なります。納入範囲を明確にして初めて価格を比較できます。

28.目的別の選択肢

工事の段階と主な用途に合わせて選ぶ

今ある住まいに目隠し機能を追加
PDLC調光フィルムは比較的導入しやすく、見た目の変化も分かりやすい方法です。既存ガラスを生かしたい場合に向いています。
新築・改修で長く使う予定
まずPDLC合わせ調光ガラスを比較するとよいでしょう。フィルムがガラスに保護され、外観、端部処理、耐久性、耐水性をまとめやすくなります。ただし、実際の構造と封止品質が重要です。
非常に大きな窓で西日が強い
主にSPD、EC、日射制御専用のスマートガラスを比較し、日射熱取得とまぶしさの仕様から方式を決めます。
商業建築
候補となるSageGlass、View、eyrise、Gauzy SPDを、カーテンウォール設計やBMSとの連携を含めて評価します。
自動車
メーカー装備のAGC Digital CurtainやSPD方式のガラスなどに注目し、ルーフや窓の実際の調光効果を比較します。

暮らしの中で実感しやすい四つの変化

身近な用途は大きく四つあります。透明からすりガラス状へ素早く変わるPDLC間仕切り、日差しに応じて暗くなりシェードの使用を減らすEC窓、乗り心地を高める車載調光ガラス、透明展示と映像投影を兼ねるショーウィンドウです。プライバシー、建物の採光、移動、店舗展示という日常の場面で違いを実感できます。

ガラスの機能はさらに広がっています。透明ディスプレイは窓面に広告や文字、映像を表示できます。発電ガラス、加熱除氷ガラス、アンテナガラス、AR表示ガラスは、エネルギー、温度管理、通信、表示を材料に組み込みます。調光だけにとどまらず、窓が建物や自動車の電子機器の一部になりつつあります。